チョコレートトラップ

このまま高橋くんのペースに

飲まれちゃいけない。


私は自分自身を見つめなおすために

ここにやってきたんだから。


鳴り止まない鼓動をそのままに、

私はまっすぐに高橋くんを

見つめる。


「ううん、大丈夫。

 もう、見終わったところだし」


今まで高橋くんの姿を探しながら、

店内をゆっくり1周し終わろうと

していたところだったのだから。


高橋くんにこうして話したし、

それにコレだって

気付いていないみたい。


だったら、もうこれ以上

ここにいる理由はない。


「じゃ、またね。高橋くん」


そう言って微笑むと、

私はくるりと後ろを向いた。


もう、帰ろう。


下りのエスカレーターに向かって

足を一歩出したと同時に、

左手首をぎゅっとつかまれた。