チョコレートトラップ

高橋くんに囁かれると、

全身が反応して身体が熱くなる。


「こ、ここのお店の服、

 また見たくなっちゃって……」


咄嗟についた嘘に、

胸の奥がズキンと痛む。


本当は洋服なんて

どうでもよかった。


高橋くんに逢うのが目的で

ここまで来たのに。


“お客様”とも言えぬ私に対して、

高橋くんは絶えず微笑みかける。


それが、

さらに私の心を締め付ける。


「ありがとう、磯貝さん。

 ここの店は、磯貝さんに

 似合うものがたくさんあるから。

 僕も一緒に選んであげるよ」


そう言って、ためらいもせず

すっと手を差し出す高橋くんに、

私は口をつぐんだまま

首を横に振った。