チョコレートトラップ

初乗り切符で行ける最大の距離。


またこの大きな駅に

来るなんて思ってもなかった。


あの時は、もやもやする気持ちを

紛らわすために来たのに、

今日は、自分の気持ちを

はっきりさせるために来ている。


“本当の高橋くん”


“私の本当の気持ち”


それをしっかりと確認するために。


降りた駅とは反対の駅ビルに入って、

エスカレーターで2階へと上がる。


ショップが近付くにつれて、

胸の鼓動がバクバクと

悲鳴をあげ始める。


呼吸もままならないくらいに、

空気が薄く感じる。


高橋くんは、いるだろうか。


いなければ、ここまで

来た意味がなくなっちゃう。


けれど、100パーセントいる

保証ははい。


暴れる鼓動を抱えながら、

私は意を決して

高橋くんのバイト先である

ショップに足を踏み入れた。