「また明日。

 気をつけて帰ってくださいね」


帰りのホームルームが終わり、

後藤先生がにっこり微笑んで

教室に声を掛けた。


それを合図に、

クラスメイトが次々と

動き始める。


ほとんどの3年生が、

卒業後の進路が

決まっているせいか、

みんなの足取りは軽く、

そして希望に満ち溢れている。


そんな中、私たった1人だけ、

表情が曇っていた。


自分が自分のスキな人を見失うって、

一体どういうことなんだろう。


あれだけ高橋くんに

想いを寄せ続けてきたっていうのに、

ウソタとの妙な絡みから

一変してしまった。


私の気持ちは、

高橋くんに向いたまま、

だよね?


それを確かめようと、

私はバッグを手に取ると

教室を後にした。