「課題、忘れるなよ」


念を押すような

強い口調で言い残すと、

4時間目担当の

若い男の先生が教室を後にした。


ようやく、午前の授業が終わった。


今まではそんなこと

微塵にも思わなかったのに、

ウソタと噂になってから

というものの、

1時間あたり50分枠の授業が

とてもとても長く感じられる。


頭ではみんなの視線を、

言葉を無視すればいいんだって

分かってる。


でも、私はそんなに

器用な人間じゃない。


一度気になってしまうと、

全てがそうなんだと感じてしまう。


だから、

お昼休みが一番待ち遠しい。


ダイスキな親友、凛と、

誰もいない屋上で

1時間あまり過ごせるから。


私はそれまで出していた

教科書とノートを机にしまうと、

横に掛けてあるバッグを手にして

屋上へと向かい始めた。