どうやら彼女たちは

服を買ったみたいだけど、

それはきっと

おまけのようなものなんだよね。


高橋くんがあのショップに

いるから行くってだけで、

本当はそこのブランドが

スキなワケではないんだよね。


あの時見せた、

高橋くんの寂しげな目が

浮かんできて、

私の心が少し沈んだ。


と、その時。


いつの間にか

始業のチャイムが鳴っていたのか、

教室の前のドアが

穏やかな音を立てながら開いた。


ふんわりと柔らかな笑顔をした

後藤先生が、

「おはよう」

と包み込むような声を

教室に投げかけた。


―――今日もまた、

長い長い1日が始まるんだ。