景色に目を向ければ、

クラスメイトの視線を

感じずに済む。


けれど、噂話はどうしても

私の耳に入ってきてしまう。


「今日もウソタの熱烈な

 お出迎えがあったんだよ」


「なんか、手ぇ繋いでたよな」


飛び交う会話に、

耳を塞ぎたくなる。


でも、まさか学校で

耳栓をするワケにもいかず、

なんとか噂話が入らないように

外の景色へと気持ちを集中させる。


早く、こんな噂、

消えてなくなっちゃえば

どんなにラクになるんだろう。


私とウソタの話で持ちきりな教室。


その中にすうっと

新たな風を吹き込む、

女の子たちの軽やかに

弾ませた声が聞こえてきた。