ウソタの甘美な声が耳に残る。


いつも見せる姿とのギャップに、

胸が激しく音を鳴り響かせる。


「あんな声、出さないでよ……」


激しさを増す鼓動を

抑えるように胸を抱えて、

私は凛と別れ教室へと入った。


別れ際、凛に

「お昼休み、屋上でね」

と約束を交わしてから。


やっぱり土日を挟んだだけじゃ、

噂は消えないものなんだな。


私が入った瞬間、

クラスメイトの好奇な視線を感じる。


波打つ鼓動も

おさまっていないのに

こんな視線を浴びるなんて、

今の私には耐え難い状況に

困惑してしまう。


身を隠そうと、

背中を丸めて素早く自分の席へ着く。


バッグを机の脇に掛けると、

その視線を感じないように

窓の外へ目を向けた。