もう、あの校内中に

張り出したポスターで十分でしょ?


もう、大人しくして

くれてもいいはずなのに。


私の言葉に、

全く動揺する様子を見せない

ウソタと、

これ以上、無駄に

接触しないように素早く靴を

履き替え昇降口を後にする。


ウソタとは、

これ以上話さないようにしよう。


そう心に決めると、

私は教室へと歩こうと

足を前へ動かす。


と同時に、右腕を

がっしり掴まれたかと思うと、

ウソタが私の耳元に口を近付けて、

「俺、本気だって言っただろ?」

と今まで訊いたことのない

甘い声を響かせると、

掴んでいた腕をパッと放して

その場を去っていった。