とその瞬間、

凛と繋いでいた手の力が

ふっと抜け、

それと同時に

深い溜め息が漏れた。


「おはよ、芹菜」


逢いたくもないヤツが、

私に向かって

屈託のない笑顔を見せる。


今日はさすがにいないだろうと

思っていた私が、ばかだった。


「ウソタ……。

 もういい加減、

 私に付きまとわないでよ!」


馴れ馴れしく私を呼ぶ

ウソタの姿に、ふつふつと

怒りがこみ上げてくる。