ふと後ろを振り返ると、

そこには穏やかに微笑む

凛の姿があった。


「凛!」


凛に逢えた喜びと安心感で、

私の構えていた心が

ふっとほぐれる。


「おはよ、芹菜。

 土日はちゃんとしっかり

 休めた?」


「ん、多分」


バイト中の高橋くんと

話したことって、きっと

休めたことになるよね。


ただ、私の中の高橋くんとは

違ってみえたのが気になるけれど。


曖昧な返事をする私に、

凛が「まったく」と

小さく呟いてから言葉を続ける。


「でも偉いよ、芹菜は。

 ウソタにあんなことされても、

 今日、ちゃんと学校に来てるじゃん。

 私だったら、ズル休みして、

 引きこもるかも」