表情が曇ったのを察知したのか、

すっとワンピースを

受け取った高橋くんが

私の耳元に口を近付ける。


「磯貝さん。これ、

 僕からプレゼントしてあげるよ」


「!」


予想していない

高橋くんのまさかの言葉に、

目を見開いたまま

口をあんぐりと開けてしまう。


……い、今、高橋くん、

私に何て言ってた?


呆然と立ち尽くす私に、

再度ふんわりと笑顔を見せると

駄目押しのようにもう一度囁いた。


「磯貝さんがココにきた記念に、ね。

 付き合ってたら彼女にプレゼント

 ……と言いたいところだけど、

 生憎、今の僕には

 その彼女がいないから。

 今日は磯貝さんに、

 僕からプレゼントさせて欲しいんだ」


ドクドクと大きな音を立てて

早まる鼓動が、

私の身体を熱くさせる。


両足がピッタリと

地面にくっついたまま

動けない私をよそに、高橋くんは

「ただ今、ご用意いたします」

と言うとレジカウンターへと

消えていった。