言葉を失ったまま

呆然と立ち尽くしていると、

高橋くんが駄目押しするように

私の耳元に口を近付ける。


「今言ったこと、

 僕たちだけの秘密」


高橋くんとの、秘密―――


その甘美な響きに、

私の鼓動がドクンと

大きな音を立てる。


心を大きくかき乱す

高橋くんの数々の言葉に、

私自身、おかしくなって

しまいそうになる。


でも、高橋くんの本当の姿は……?


顔をぽっぽと赤らめる私に、

高橋くんが今度は

ショップの一店員に戻って

しれっと言った。


「そのワンピース、

 ご試着いかがですか?」