チョコレートトラップ

偶然とは言え、

私もその女の子たちと

同じなのかもしれない。


最初は並んでいる洋服に

惹かれてきたけれど、

高橋くんを見た瞬間、

洋服なんか一切目に

入らなくなってしまったから。


そう考えると、

高橋くんを傷つけてしまった

気がして、

胸の奥がギュッと締め付けられる。


「磯貝さん。せっかく

 磯貝さんに似合うワンピースが、

 それじゃ、

 くしゃくしゃになっちゃうよ」


そう言われて初めて、

ずっと持っていたワンピースを

強く握り締めていたことに気付く。