チョコレートトラップ

そうっか。


今までの微笑みは、

ショップ店員としての

営業スマイルだったんだ。


まだ激しく波打つ鼓動を

そのままに私は勇気を出して、

ゆっくり話し始めた。


「うん。高橋くんが

 ここでバイトしてるなんて、

 ビックリしちゃった」


「そうかな?

 僕がここでバイトしてるのって、

 結構学校では有名だと思うけどな。

 学校の女の子たちが、

 よくココに遊びに来るんだよ」


さらりとそう言うと、

高橋くんがニカッと笑う。


私、今まで、知らなかった。


高橋くんが

バイトしてるってことも、

そして学校の女の子たちが

それを知っているってことも。


なんだか周りの女の子に

置いていかれたような気がして、

私の心が少しだけ沈むのを感じた。