ううん。


付き合ってない今だって、

みんなからそう

思われているんだ。


勝手に校舎内に貼り付けた

ウソタ手作りのポスターが、

こんな事になってしまうなんて

思わなかった。


身体中の力がすとんと

抜け切ってしまい、

私は机に突っ伏す。


こんなデタラメを

みんなが信じるなんて

思ってなかった。


もう、どうだっていいよ……。


ようやくクラスメイトの

笑いがおさまった頃、

後藤先生が空気を切るように

2回叩いてから穏やかな声を

響かせた。


「皆さん、落ち着いたかしら。

 恋愛自体は自由、

 校則には罰則はありません。

 ただ、磯貝さん。

 ポスターはちょっと

 やり過ぎちゃったかしら。

 彼氏さんの高橋爽太くんと

 全部はがしておいてくださいね」