瑠奈自身は言いたいのに言えない。
言っても身分が許されない。
だから、言えるし何も壁もないのに、言わない俺を不自然に思うのだろう。
「いつでもいいと思うのは地上の民の悪い癖じゃぞ。」
瑠奈の言葉が重く感じた。
“言いたいことを言わない”
“今度言えばいいか”
それは俺たち地上の民の悪い癖なのかもしれない。
俺だけに限らず全ての人共通として。
人は大切なことを伝えようとすると臆病になる。
俺も人だ。臆病になる。
「はい、できたわよー!」
と美味しそうな香りを漂わせて優香が夕飯を持ってきた。
「あれ?なにしょんぼりしてんの?」
瑠奈にダメ出しされた俺はいろいろと考えさせられた。
「蓬莱捜索の試行錯誤してるのじゃ。」
瑠奈が気転を利かせてくれた。
「守に考えられるかなぁ~?」
相変わらずの馬鹿にした言い方。
「…で、できるわい!」
「“わい”って…!」
思わず変な語尾になってしまった。
優香も瑠奈も爆笑。
…もう、どうにでもなれ…。
「まっ、とりあえず食べよう。」
と料理をテーブルに並べた。
並べられた料理は俺の家で作られたものとは思えない出来栄えだった。
「よくこんな食材あったな?」
考えてみれば、俺の冷蔵庫にこれ程の物を作る材料はないはずだ。
「持ってきたの。」
「はっ?」
「ほれ!」
と一枚の紙切れを見せた。
『飢え死にしない為の非常食』
と書かれていた。
「昼間来たときに入れといたの。」
どうやら甲斐さんの所へ行く前にお茶をいれる際に入れといたらしい。
「いつの間に…。」
「守の冷蔵庫…ただの箱なんだもん。」
「そうだけど。」
否定はできない。
俺の冷蔵庫にあるものと言えば…缶ビールと調味料。
到底、料理のできる冷蔵庫ではない。
…一人前に料理道具はあるのだが…。
「まっ、こうなっちゃったけどね。」
と笑う。
結果的に…今がその非常事態であることになってしまったのは優香の誤算らしい。
「とにかく、食べよ!」
と箸を配り、いただきます!と食べ始めた。
「…たく、俺の家だぜ。ここ。」
と言いながらも体は嘘を吐かない。
腹は減った。
文句は言ったものの、箸が食べ物に伸びていた。
「ま・も・る?」
「はっ?」
食べようとしたとき、優香に止められた。
何や偉そうに胸を張っている。
そして何かを聞きたそうに耳に手を当てた。
…め、めんどくせー!
俺は仕方なく、
「あ、ありがとうございます。」
と言った。
「よろしい。」
勝ち誇った顔で優香は笑った。
言っても身分が許されない。
だから、言えるし何も壁もないのに、言わない俺を不自然に思うのだろう。
「いつでもいいと思うのは地上の民の悪い癖じゃぞ。」
瑠奈の言葉が重く感じた。
“言いたいことを言わない”
“今度言えばいいか”
それは俺たち地上の民の悪い癖なのかもしれない。
俺だけに限らず全ての人共通として。
人は大切なことを伝えようとすると臆病になる。
俺も人だ。臆病になる。
「はい、できたわよー!」
と美味しそうな香りを漂わせて優香が夕飯を持ってきた。
「あれ?なにしょんぼりしてんの?」
瑠奈にダメ出しされた俺はいろいろと考えさせられた。
「蓬莱捜索の試行錯誤してるのじゃ。」
瑠奈が気転を利かせてくれた。
「守に考えられるかなぁ~?」
相変わらずの馬鹿にした言い方。
「…で、できるわい!」
「“わい”って…!」
思わず変な語尾になってしまった。
優香も瑠奈も爆笑。
…もう、どうにでもなれ…。
「まっ、とりあえず食べよう。」
と料理をテーブルに並べた。
並べられた料理は俺の家で作られたものとは思えない出来栄えだった。
「よくこんな食材あったな?」
考えてみれば、俺の冷蔵庫にこれ程の物を作る材料はないはずだ。
「持ってきたの。」
「はっ?」
「ほれ!」
と一枚の紙切れを見せた。
『飢え死にしない為の非常食』
と書かれていた。
「昼間来たときに入れといたの。」
どうやら甲斐さんの所へ行く前にお茶をいれる際に入れといたらしい。
「いつの間に…。」
「守の冷蔵庫…ただの箱なんだもん。」
「そうだけど。」
否定はできない。
俺の冷蔵庫にあるものと言えば…缶ビールと調味料。
到底、料理のできる冷蔵庫ではない。
…一人前に料理道具はあるのだが…。
「まっ、こうなっちゃったけどね。」
と笑う。
結果的に…今がその非常事態であることになってしまったのは優香の誤算らしい。
「とにかく、食べよ!」
と箸を配り、いただきます!と食べ始めた。
「…たく、俺の家だぜ。ここ。」
と言いながらも体は嘘を吐かない。
腹は減った。
文句は言ったものの、箸が食べ物に伸びていた。
「ま・も・る?」
「はっ?」
食べようとしたとき、優香に止められた。
何や偉そうに胸を張っている。
そして何かを聞きたそうに耳に手を当てた。
…め、めんどくせー!
俺は仕方なく、
「あ、ありがとうございます。」
と言った。
「よろしい。」
勝ち誇った顔で優香は笑った。

