外は想像以上暑かった。
普段あまりこの時間に外にでないから…とはいえ、今日は暑かった。

「事故、起こさないでよ。」
「起こしたことないだろ。」
「油断大敵!」
優香とは高校から一緒だった。
大して話したこともなかった。
でも気づいたら、こんな感じだ。

受験生の時、志望校が同じということもありよくお互い励まし合った。
多分、これが始まりだと思う。
俺は法学部、優香は文学部の志望だった。
お互い、合格した時は飛び付くほど喜んだものだ。

後から気づいたことだが、二人とも同じキャンパスだった。
その事がより一層、この感じを生み出したように思う。

「守、コンビニ寄って!」
「はいよ。」
現地集合だから、まだ時間がかかる。
少し遠出にもなる。
途中、最寄りのコンビニに寄ることを考え、車のエンジンをかけた。

鈍く重い音が響く。
冷たい空気が流れ込む。
その瞬間、重かった頭が少し軽くなった気がした。

「カーナビ、設定しといてくれない?」
「りょーかい!」
優香は遠足のようにわくわくしている。
その様子が明らかだ。
俺は優香に設定を頼み、アクセルを踏んだ。


最寄りのコンビニはそんなに遠くはない。
「目的地まで二時間弱くらいだって。」
「お盆だから…少し混むかもな。」
「守、朝ごはんは?」
「まだ。」
「あっ、そっか。」
なんて話してたらコンビニはすぐ着いた。

コンビニの中は天国だ。
冷気が最高だ。
「守、なに食べる?」
「いつもの。」
「はーい。」
…で、通じてしまうのが不思議だ。

優香は手際よく買い物かごに商品を入れ、レジへ向かった。
「俺が払うよ。」
「ん?ありがとう。」
優香はビニール袋を手に持ち、言った。
「ありがとうございました!」
店員の声が元気よく後ろから聞こえた。

再び、現実の暑さ。
それから逃げるように車に乗り込んだ。
「はい。コロッケパンとレモンティー。」
「サンキュー。」
そうそう、これが『いつもの』である。

「高校の時からこの組み合わせなんだから。」
笑いながら俺に渡した。
「これがうまいんだよ!行くぞ!」

再びアクセルを踏み、目的地の渓流を目指した。