長い静かな廊下で、神原は歩いていた。


「おい神原!」


後ろから相楽が追いかけてくる。


神原は立ち止まると振り返った。


「……本当に…裏行事するのかよ?」


「…ああ。」


「アイツも…来るのか?」







「…だと思う。」


相楽は神原の肩を掴む。


「正気かよ!?アリスになんかあったら…どうするんだよ!?アイツは…あの女は…ッ」

「“アイツ”とは…随分と頭が高いものだな。あの方の前で口にしてみろ。お前なんかすぐに消えてちまうぜ?」


相楽はぐっと堪える。

「じゃあ…アリスはどうなんだよ…。」


神原は無表情のまま、はぁと溜め息をついた。


「そうならないようにするのがお前“猫”の役目だろう?…まぁ、もしものことがあっても俺は構わないがな。」




そう冷たく言い放つと、また廊下を歩き出した。








残された相楽は、神原の後ろ姿を見つめる。



「…お前は…変わっちまったな…。」