『てか大金っていつの間に・・・。』

桂雅は驚いたように双子を見た。

『『隣の物置にあったんだ。ざっと見ただけでそうだな・・・1000億ほどか。』』

双子はしれっと答えた。

『『『1000億!?』』』

彼方達はあまりの額の大きさに驚きの声をあげた。

『見たところここ10年は使われていないだろう。』

『利用しないものはしたほうがいいに決まってるだろ?』

双子はそれが当たり前と言わんばかりに全く気にしていなかった。

彼方はこの日初めて当たり前とは思えない当たり前を知った。

『まぁ、これから犯罪に近い事やるわけだしいいんじゃない?』

千歳は諦めたようにため息をついた。

『それもそうか・・・。』

『諦めの肝心、か・・・。』

彼方も桂雅もそこで折れた。

『まぁ、なんだ。大金もあって時空転送機械もあってしかも見えない屋敷もあるってこれだけで平凡から抜けられた気がするよなぁ。』

桂雅は面白そうに口角をあげた。

『まだ早いよ、桂雅。』

『私達はまだ始まったばかりよ。』

双子もそれにつられて笑った。

『ここから始まるんだよ。あたし達の世界が。』

千歳はグッと拳を握った。

『平凡なんてつまらない。だから俺達はこの世界を壊すんだ。』

彼方はまだ見ぬ俺達の世界に思いを膨らませた。




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