時は現代。

技術も発達し、だいぶ人が過ごしやすくなった世界。

けどこの少年、聖川 彼方(ひじりかわ かなた)にとってはそんなのつまらないだけだった。

彼方の中では平凡=普通=当たり前。

どんなこともだいたいこれに当てはまる。

だから、彼方はこの世界はつまらない。

彼も今まで平凡な道を辿ってきて15年。

今日から高校という平凡な集まりの中に通うことになっている。

正直言って今の彼方の気分は最悪だ。

行きたくない気持ちを抱えつつ彼方はこれから通う「南城高校」の校門をくぐった。

『1-Aか。』

彼方はクラス表を確認し教室に向かった。

教室に入るも彼方に友達などいない。

平凡を好むやつなんかと仲良くするつもりはさらさらないようだ。

彼方は教室の中を見渡した。

誰もがこの世界に満足したように笑っている。

そんな中、彼方はある双子を見つけた。

二人だけで机に設計図らしきものを広げている。

彼方はその時、二人に自分と近いものを感じた気がした。


担任が入ってくるとお約束の自己紹介が始まった。

『担任の桐野 澤です。皆さんよろしくね。』

桐野は優しく笑った。

その笑顔にほとんどの男子は顔を赤くした。

(馬鹿馬鹿しい。)

彼方はため息をつき、窓の外に目を移した。