視線が重なる。
あの時と一緒だ…


茶色と金色の混ざった髪、やっぱりあの時の強い男の子。

さっきと洋服が変わっていて口にはバンソーコーが張ってあった。



私は目を反らしてマイクを握りしめ再び目を閉じる。


新曲を歌い終る頃にはその男子の姿はなかった。

「あれ…?」
「どしたさくら?さっきからキョロキョロしてさ?」

正樹が片付けをしながら聞いてきた。

「ちょっと…ね?」
「ふーん?それより帰り車乗せてってくんねぇ?俺バスで来たんだけどさ!?今雨降ってるし〜、な?!」

「な?!じゃないから!別に良いけど…。」
「まぢ?!サンキュー☆」


渋々正樹を送る事になったけど、そんな事はどうでも良くって…。


私はただただ、あの男の子の事が気になっていたんだ。