あ、何かあったかい...
知ってる、この感じ...この温もりは...
昔からずっとあたしの隣にあった...

「ん...」

「おっ、恭、起きたか」

「んん?侑斗...?うあぁぁ!?」

気づいたらあたしは
侑斗におんぶされてた

「ちょっ、あたし重いよ!?」

「...軽いよ」

「ちょっと侑斗!!降ろしてって!!」

「ヤダ...」

侑斗は意地になっちゃうと
なかなか譲ろうとしない
こうなると手に負えなくなっちゃう

「ごめん...」

「別に...ビックリさせんなよな、いきなり倒れて...」

あ、そっか...あたし校長先生の話の時に
倒れて...でもあたしどこも痛くない?

「ねぇ、侑斗?あたしほんとに倒れたの?」

「何でだよ」

「あたしね、どっこも痛くないの」

「お前どんだけ意識飛んでたの?」

侑斗が呆れた顔であたしを見る

そういえば...

「侑斗...侑斗でしょ?あたしのこと支えてくれたのは」

「さぁな...」

侑斗はそっぽ向いて
あたしを背負ったまんま保健室まで来た

「先生いないな...」

「侑斗...もう良いよ?」

侑斗はやっとあたしを
自分の背中から下ろした

「大丈夫か?」

「うん」

そういえば、倒れた心当たりはある
最近嫌な夢ばっか見て夜中に何回も起きるし
朝ごはんも食べてない...

「あたし寝る...」

「お、おぉ、じゃぁ俺行くな」

侑斗はそう言って
ドアの方へと歩いてった

「...っ侑斗!!」

「!? 何だよ、ビビらせんなよ」

「ごめん...」

侑斗はこっちへ戻ってきた

「で、何だよ」

侑斗はいつもより優しい声で
話しかけてくる

「もう少し一緒にいて?」

侑斗は返事もせず、
ただ黙って、ベッドの隣にある椅子に座った

「バカ恭...もっと自分の体のこと気にかけろ...心配すんだろが...」

そう言った侑斗は
顔を伏せてあたしより先に寝てしまった

「やっぱり侑斗は優しいね...」


きゅっ...


あたしは小さい頃みたいに侑斗の手を握って
安心して寝た