「よし。別の考えで行くぞー」

「いや、大島君が犯人で決まりですって」

そんな井東君の発言がガン無視。

そして、前列の女子に目を向けた。

「田原。お前四時限目の移動の前に忘れ物を取りに一旦教室戻っただろ?」

「え・・・はい。そうですけど。それで私が犯人だとか言うんですか?」

「別にそうとは言ってないが・・・」

あ、そうだ。と、手のひらに片方の拳を置いた。

「田原は確か、よく向井と弁当食べてたよな?」

頷く田原に満足気な先生。

「向井の弁当はおいしそうだったか?

「はい。・・・それが?」

「田原は向井の弁当が食べたかったんだ。
それで向井のカバンの中から拝借したんだ!」

まさかの容疑に思わず立ち上がった。

「じゃあなんで大島のカバンの中にあったんですか!!」

「そりゃあ・・・偽装工作だよ」

「もしそうだとしても、大島が食べちゃって終わりですよ!
そのお弁当は中身あったんですよね?」

確かに、先ほど確かめたときには弁当の中身はしっかりあった。