「おっはよーございまぁーす!」

テンションの高い挨拶だ。
言っておくが、俺じゃない。

「みなさん。青少年自然の家にようこそいらっしゃいました!二日間、皆さんと一緒にすごす田辺広道です。広道お兄さんと呼んでくださいねー!」

どうみても、お兄さんなんて呼ばれる歳じゃないだろ。

「みなさんには二日間、この青少年自然の家でのルールに従ってもらいます」

生徒から不満の声が小さく聞こえた。

まぁ、そうだろう。

この年頃は「従う」という言葉が嫌いだ。

「一つ、元気のいい声を出すこと。二つ、同じグループのメンバーを信じること。三つ、協力すること。漢字だけでいうと、友情・努力・勝利」

どこの少年雑誌の三大要素だよ。

「先生。それだったら順番が違います。あの雑誌の三大要素は、努力・友情・勝利の順番です」

地の文に話しかけてくるな。井東。
これは俺の頭の中の独り言なんだよ。

「それでは皆さん、グループに分かれてくださいねー」

生徒及び教師達が自分のグループへと分かれると、各グループに一人ずつ職員さんが入ってきた。


俺が担当することになったB班には田辺広道・・・・広道お兄さんだった。