「今週のLHRはちょっとした会議っぽいことをしてもらう」


そう言ったのは1年B組担任の遠山透だった。
 



ただいま週一回のLHRの時間。


「今回はちょっとお前らにとっても、
俺にとっても残念なことについて話し合ってもらおうと思う」


そう眉を寄せながら先生が手招きをすると、

女子生徒が一人黙ったまま教卓のほうに出てきた。

先生はその女子生徒と顔を見合わせると頷き、また口を開いた。

「えー。知ってる奴は知ってると思うが、
実は昼休みの時間に向井美咲の弁当が無くなるという事件が起こった」




周囲から「あれかー」や、「マジかよー」という声が上がる。

「ただでさえ腹が減っていたのに弁当が消えた。
今、向井は生きる目標を失いかけている」

「先生。何か食い意地張ってるみたいです」


それまで黙って聞いていた向井が口を挟んだ。


「実際そうだろ」


「訴えますよ」


「まったく最近の若者は何かあったらすぐ訴えますよだ。
都合のいい部分しか覚えてないのに法律を盾にしようとするな」