彼をよく見れば、そんな悪い外見ではない。
そんな顔も、今はぽかーんとしていて、何とも間抜け面だけれども。
でも、一応、世間一般で言う、かっこいい分類の人なのだ。
まぁ、ちょっとひ弱そうだが。
告白なんてめんどくさいこと、あたし以外でやってほしいものだ。
…ましてや、悠の悪口なんて。
「あんたと1回キスするくらいなら、悠と100回キスするわ」
あたしの言葉に、今度は真っ青になって彼を見て。
「勘違いも大概にしてよね」
そう言って、背を向けて歩き出した。
引き止められることがなかったことに、心の中でガッツポーズをしながら。
悠の待つ、校門に急いだ。

