なぜだろうか?

悠とのことを、面と向かって言われたのは初めてで。

とてもじゃないが、気分が悪くなる。


……黙れば、いいのに。


あたしは、今にも泣き出しそうな男に近く。


そういえば、悠も“されてた”っけ…。

なんてことを考えながら、目の前の男のネクタイへと右手を伸ばす。

悠が身に付けているネクタイと色が同じだ。

そこで初めて、この男が悠と同級生なことに気づいた。

へぇー。


「あんなヤツ、…って、えっ、…あのっ!」


本当に、あんたなんて黙ればいいのに。

グイッと、あたしはネクタイを握った手を、力一杯自分の方に引き寄せた。