これは…もしかして…
「◯◯さん、私は…」
何?
僕、何を言うつもりなんだ…?
「貴女となら…」
◯◯さんの長い睫毛が目元に作った影。
僕に身体を預けて…
仔猫みたいにスヤスヤと…
え…?
「…◯◯さん?」
「グゥ…」
寝、寝ちゃってる…!
チョンチョンっと頬を啄いてみると
小さくて桜貝みたいな唇がムニャムニャと動いた。
「…僕だって男ですよ?」
呟いてみたけど、返事はなくて…
ホッとしたような、残念なような…
無防備すぎるこの女の子に、警戒心を無くさせるのは
男としてどんなもんですかねぇ…
「…土方さんの腕の中でも、そうして眠るんですか」
チクリと胸が淡く痛む。
もう返事がないのはわかっていた。
わかっていたから…
「私は貴女のことが好きみたいですよ…」
ほんの少しだけ、腕に力を入れて…
眠る吐息を引き寄せた。
***************
