「並木さん、これあげる。
お互いに頑張ろうね。」


思いっきり緊張して硬くなっている私に手渡されたのは

小さなビー玉。


「さっきここへ来る前にラムネを一本一気飲みしてきたんだ。

そしたら、ビンの中に入ってるビー玉がどうしても取りたくなって
『このビー玉を無事に取ることができたら、
俺は絶対受かる!』
って変な思い込みがどんどん湧いてきてさ――」



「それで、どうしたんですか?」



「ビンの飲み口のところを思いっきりひねってみたんだけど、全然開かなくて。

もう手の皮が剥けるくらい、何回も何回も挑戦してみたけど結局ダメだった・・・。」



和真はそう言って、手のひらを見せた。



「あらら・・・真っ赤。」



私は思わず吹き出してしまった。

和真の話はまだ続く。