サヨナラと言いたかった

どれくらい時間がたっただろう・・・


外からはかすかな夕日が差し込み
辺りは少しずつ薄暗くなってきた。



とりあえず、帰ろう。


ボロボロになった心を引きずるように、
マンションの階段を下りた。

何度も何度も立ち止まり、やっとのことで入り口を出た瞬間、
隣に建っている小さなビルが目に入った。



気がつくと私はビルへ向かって走り出していた。



非常用の外階段を駆け上がり、上へ上へと向かう。


途中で息が切れて何度も足が止まる。
這うようにして何とか5階までたどりついた私は、踊り場から身を乗り出した。



「あっ……。」