住所。


切手の貼られた封筒。


何も書かれていない便箋。





「・・・まさか


これで、私に手紙を書いてほしいってこと?」


奥さんが、どんな気持ちでこの手紙を送ってきたのか真剣に考えてみた。


今までずっと私は、
奥さんが何も言ってこないことに不安と苛立ちを覚えていた。


でもそれは、奥さんも同じだったんだ。


毎日のように無言電話と白紙の手紙の攻撃を受けていながら、
逃げてばかりで何も行動しようとせず、
こうちゃん本人にも何も働きかけなかった私の本心を
奥さんは知りたがっている。





・・・もし、そうなら、


私はもう逃げたくない。



こうちゃんが、すべてを投げ出してでも私と一緒になりたいと言ってくれたように、
私もきちんと前を向いて逃げ出さずに闘いたい。