学校から帰ると、私は必ずアパートの入り口に設置されている郵便受けの中を覗く。


居酒屋のダイレクトメール。
電話料金の明細。
宅配ピザ屋のチラシ。
どうでもいいような郵便物に紛れている一通の手紙。



真っ白な封筒に、
丁寧に書かれた
『並木結衣様』の文字。


差出人は不明―――




部屋に入ってすぐに、その手紙を開く。
ガタガタと手が震えている。


小さく折りたたまれた便箋を開くと、









――――白紙



いつも何も書かれていない。