306号室の前に来た。

お互いになにも言わず、ドアの横のプレートを見ていた。

「坂倉 理沙」

ここに来てまた、現実を噛み締める。

嘘じゃないのか、と。

嘘じゃないって、このプレートに言われた気がして、目を伏せた。