坂倉の弟は、あまり坂倉に似ていなかった。 けど、遺伝だろうか。 坂倉も美人だったが、弟もかっこいい。 坂倉は勉強もできた。 …神様って、不公平だ。 「えぇ…と、始めまして?矢口光です。」 「あぁ…こちらこそ。」 無愛想だな。俺が言えたことじゃないか。 「上がってもいい?」 「どうぞ。」 俺はためらいながらも、寺田のあとに続いた。