それから少しして、アランとラオウもこの岩場へと無事に戻ってきた。
ラオウはアズの愛馬。
やはり、この二人を組ませて偵察に行かせたのは失敗だった。
帰ってきたラオウの機嫌の悪さは相当なもので、アズが必死になだめていた。
日も完全に沈んだ頃、静かだったこの島に変化が訪れた。
海面にゆらゆらと、今にも沈みそうな舟が何隻か現れたのだ。
「火を消せっ!岩影に身を潜めろ!」
キースが小声で指示すると、私は魔力で火を消す。
アズは火を消した組み木を蹴り散らし、痕跡を消した。
私たちはそれぞれの荷物を持って、少し大きめな同じ岩の後ろへ回り、向こうから見えない位置で様子を伺う。
ラオウとレンの姿が、岩壁からはみ出す。
『僕たち見えちゃうよッ!?』
私はとっさに魔力を使い、二頭の馬の体を小さく縮めた。
「…ちょっと我慢してて!」
手に乗る大きさになった二頭を、布袋に詰め込んだ。
魔術を使い慣れていない自分が、とっさにここまで行動出来る事に驚いた。
息を殺し、見つめる先には、
五隻の手こぎの沈みそうな舟。
その後ろから、明らかに前の五隻とは違う、威張り散らした船が現れる。

