私は慌てて周囲を見回す。
幸い、アランの姿は未だなかった。
「俺は知っているから別にいいが…。もうすぐアランが帰ってくる。今のはどう見ても仲良しの兄妹で済ますには厳しい雰囲気だったぞ!気を付けろよ、アズ!」
「あぁ。悪いな、キース。色々気を回させて…」
キースはそんなアズの言葉に、レンに感謝を込めて撫でていた手を止めた。
「…俺は別にそこまで気を回してなんかいないぞ?」
「いや、見張らしの良い所なんでね…。向こうから近付いてくるキースが、俺たちの雰囲気を察して、急にレンを走らせるペースを遅くしたのは知っているんだ…。」
へへっ…とアズは照れ笑いをしてキースに告げる。
キースは、ばつが悪そうにアズの頭をぐしゃぐしゃと力一杯撫で回していた。
「…痛い…キース…」
「いい罰だろう?」
本当に、みんな、
頭を撫でるのが好きだなぁ…。
そんな事を考えながら、先程までアズに撫でられていた自分の髪に手を当てた。
ヒヒィ…ン…
『ねぇ、アイリ。それで二人はうまくいったのか?』
レンが横から「ただいま」と、私にすり寄りながら尋ねてきた。

