時、すでに遅し。
母が命を絶ったのは、いつの話だろう…。
もう少し早く手紙が届いていれば、人を殺めようなどと思いもしない。
しかし、現実はカルラ様を…。
何にしてもサザエルから逃れられる。
当然、キースは死刑を望んだ。
――守るべき物は何もない。
人を殺めてまで生きようとする理由は、何もなくなった。
今、残るのは罪の意識のみ。
「死刑にしてくれ、と彼は言ったそうだ。」
ここまでを話し、沈むキースに代わり、叔父様がそう語る。
「妹カルラの一大事だ。私もすぐにその場へ駆けつけたよ。その時は、彼が許せなくてね…。死を望んだ彼に『生きて一生苦しめ』と、姿を白い狼に変え、成長も止めた…。」
「…叔父様が!?」
私がそう顔をしかめると、目を伏せて肯定した。
「あぁ、私が命じたのだよ。」
「そんなっ!でもっ…」
「アイリ、まだ続きがあるんだ…。」
叔父様に食って掛かろうとする私を、誰でもないキースが止めた。

