記憶 ―砂漠の花―



叔父様は自分の息子の様子に呆れ、手を額に当てながら溜め息をつく。


「…あぁ。しかし、探す必要もないのだよ。」

「…?」

私たちの動きが止まり、3人一つに固まったまま、叔父様の言葉を待った。


「…サザエル出身の者が、ここにいるのだから。」

「…!?」


――サザエル出身!?

叔父様とアランは、シオン。
アズと私は、もちろんラルファ出身。

…いや、違う…。


「……まさか、私…?」


「――俺だ。」

後ろから声がした。


「キース!?」

つかつかと私たちに歩み寄ると、彼は平然と言った。


「遅れて申し訳ない。ラルファ国王からマギーを通して連絡がありまして…。」

「それで?彼は何と?」

「いえ、特には。ただお二人のご無事を確認されたかっただけかと。」

「おぉ、そうか。」

キースは叔父様との会話を終えると、こちらに顔を向ける。
私たちは固まったままだ。


「俺の記憶を使うといい。」

そう言うキースの表情は、昨日の暗い顔とは比べものにならない程、すっきりとしたものになっていた。


そして、
キースの過去が…、
私たちに今、明かされる。