記憶 ―砂漠の花―



「さて、食事を目の前にして悪いが、先に話を聞こうじゃないか。ただ遊びに来たわけでもなさそうだ…」

「――はいっ。」


アズが父上の意向を説明し、叔父様がうんうんと一つ一つ丁寧に頷く。


「サザエルに…カルラか…。」

「あくまで噂ですし、断定は出来ません。」

叔父様はふとキースに目を移すと、

「それで君が…」

と言った。
また私たちの分からない会話。


「もちろん、私も協力させてくれ。私自身は一緒には行けないが、きっと役に立つ優秀な奴を連れて行ってくれ。」

「有り難うございます。」

アズが頭を下げるのと同時に、私が痺れを切らせた。


「叔父様!私、さっきから叔父様とキースの関係が気になってしょうがないんだけどっ!聞いてはダメな事!?」

「おいっ!アイリ!」

アズが止めに入るが、すでに時遅し。
二人の動きが一瞬にして止まり、困った表情をお互いにする。

あ、まずかったかな…
そう一瞬後悔もしたが、今となっては遅い。


叔父様が、腕を組みながら口を開いた。


「お前たちの父上が話していない事を私が話していいものか…」

「…そんなに重大な事なのですか?」

アズが申し訳なさそうに控えめに聞く。