俺はアイリの胸から、死の原因である剣を抜き出そうとした。

胸の傷を治療するには、
剣が邪魔だったんだ。



剣を少し引き抜いた。


「――やめろ!アラン君…」


マルクを眠らせ、自由の身になったリオンが叫んだ。


「例え…、少しくらいの怪我は治せても、…命を…与える事はウィッチでも不可能だ!!私たちは神じゃない…。」


俺は手を止めた。

リオンは言葉を続けた。


「それに…、今、剣を抜けば…死期を…早めるだけだ……!!」



死期を…?

何を言ってるんだ…!?


アイリは…
アイリは、もぅ…!!



皆の視線の先が集まるのは、
アイリじゃなかった。



「……ぐふっ……」


アズの口元にも…
アイリと同じように、

血が流れた……




大きな…
…長い剣は、


……二人を、

貫いていたんだ――――




アイリは多分気付いてない。

きっと…
それは、幸せだった。


愛する人の命と引き換えに眠れると…
喜んだに違いない。



だから、きっと…

アズは…、

アイリが逝くまで耐えてたんだね?