アイリ…、

お前はアズの事ばかりで、
俺たちが号泣しながら傍にいた事なんて、全然分からないだろうな…。


「…ア…アイリ…アイリぃいぃぃ!!しっかりしろよ…嫌だよ…!」


俺は、アイリの目の前にいた。


アイリからの返答はない。
涙と笑顔を浮かべたまま…



「……アイリ…?」


やっと…

手を伸ばして手に入れた、

俺の笑顔が……


やっと…
やっとの思いで…!



俺は、魔力を使った。

死なせない
死なせない…



いつかの…、リオンの言葉を借りるならば、

アイリは、

『砂漠に咲く一輪の薔薇』

俺にとっては、
その言葉通りの存在だった。

枯れた俺の心に、
光を与える、あの笑顔…



俺はアイリの胸に両手をかざし、紫の魔力を膨らませた。

死なせない。


「…アズ!!お前も手伝えよ…!仮にもっ…、…ぁ…『紅い力』っ、持ってるだろうが!!」


…アズは、

アイリを抱き締めたまま、
静かに…
涙を流していた。


「…っ!アズッ!!手伝え…って!!」


動こうとしないアズ。

なんなんだよ!

まだ助かる!
諦めるなよ…!!