攻撃が外れた形跡も、周囲には見られない。

一体、
何をしたの…!?



……カタカタ…


遠くから、
微かに…

そんな音がした。


『……!?』


皆の人影の、少し向こう…
城に近い位置。

灰色の石畳の脇から、
上に伸びる雑草の緑色の中…。


キースの捨て置いてある大きな剣が、地面から小さな音を立てて起き上がる。


『まさか…まさか…』


「…死ね…!ラルファの次期国王よ…お前の心臓はあと一つだろう…?」


マルクの独り言の様な小さな掛け声を合図に、

その剣は、もの凄い速さで突き進んだ。


一直線に、

アズをめがけて……


『やめて、やめて、やめて、やめて!!』


「……アズぅぅ!逃げてぇぇえぇ!!」

私の声が出た。


アランを始め、アズを含めた全員が、アズを狙う剣の場所の特定に間に合っていない。


あの速さで進む剣を、遠方から止める術は何!?


「…嫌よ、逃げてぇぇえぇ!!」


私はどうしたらアズを救えるの!?

どうしたら…


……!!



私は迷わず、


瞬間移動した。