――危なかった。


アランは青服を解放した。
彼らの体が、力なくだらりと地面に崩れる。


私はマルクの体を魔力で捕らえ、宙に浮かせている。

アランを呼んだ瞬間、紅い力を一気に解放させてゆき、白い力を飲み込んだ。
自分の意思のもとで…。


もう少し遅れていたら…
そう考えると、恐ろしくて鳥肌が立つ。

マルクに心臓を奪われる事はなかっただろう。
また、魔力を暴走させるところだった。



「くそ…!くそぉぉおぉぉぉ――!!」

マルクが叫んだ。


皆は、ぽかんとこの光景を理解する事に時間がかかっているようだ。


『ありがと、アラン。』

はぁはぁ…と、私は荒ぶる呼吸を整えた。


『もう二度とこんな事許さないからな!?』


一瞬私をそう睨むと、


「良かったー!うまくいって。作戦成功!」

アランは皆の拘束を解いた。


「……言っておいてくれないか…?」

「そうだ!こんな魔力まで俺たちにかけやがって…!」

「アイリ、大丈夫なのか!?」


先生は呆れ、キースは怒り、アズは私の身をあんじた。

少し向こうでは父上と母上が肩を抱き合い、涙を浮かべた笑顔で私を見守っている。

私は笑顔を向けた。