「いかんっ!アイリさん!落ち着くんだ!!」

先生の声が、狭まる聴力の遠くで微かに聞こえる。



――ドクンッ…

人間て…
…人間なんて…


ふつふつと、
私の血が、暴れ出す。


悲しい…

なんて…
自分本位な生き物なの…


――ドクンッ…



…コンナ世界、
壊シテシマエバイイヨ…



「アイリさん…!アズ君、アイリさんを止めるんだ!魔力が暴走するぞっ!!早く!」

「…アイリ!アイリ!」

アズが私の肩を揺さぶる。



――ドクンッ…


全テヲ、
壊シテシマエ…


…誰?
私に呼び掛けるのは…


「アイリ!…ぐぁっ!!弾かれる!アイリ!!」

アズの体が、私から離れかかる。
その手からは、
赤い血が飛び散った。


…血…?
アズから…?

誰!?
危害を加えたのは。

――私…


「…ア…ズ…。…アズ!!」

ふっ…と、
私の意識は急に鮮明になり、囚われていた力からも解放された。

ひどく疲れている。
私は力なくその場に倒れ込んだ。


「アイリ!」
「アイリ!大丈夫か?」

アズの顔が私を覗き込む。