記憶 ―砂漠の花―


「基本『黒』は『無』。つまり…生まれないか、どちらか片親の色が出るか。どちらにせよ、原色が珍しい事は分かったね?」

「はい…」



引き継いで父上が語り始める。

今まで語られなかった歴史、
ウィッチ狩りの全貌を…



ウィッチ狩り…
今からおよそ25年前に遡る。

やはり、マルクの企みが国を揺るがす背景にあった。

まだ戦争が始まる前の事、ラルファにサザエルのウィッチが放たれた。

ラルファにスパイとして潜入した人数は計り知れない。


当初、その目的は不明だった。

無作為に人を襲う者、
人を騙す者、
情報を収集する者、
在らぬ噂を立てる者…

人々に恐怖と不信感を植え付けた。


今思えば、
戦争前に国の内部を混乱させて国を追い詰める事、
そして、
ラルファ国内の『紅い力』の捜索が目的だったのだろう。



発せられた、
ウィッチ狩り…

当初、祖父はサザエルのウィッチのみをその対象としていた。

しかし、姿、形でしかウィッチと判断する術を持っていない。
ラルファとサザエルのウィッチをどう見分けるというのか…

奴らは姿、形をも変えられる。
加えて、『封印』に『解除』…
身分すら偽れる奴らに不安と焦りを覚えていた。