未だ、今の青服の言葉の意味に、私たちは囚われていた。

…紅い力…


『大丈夫か、アイリ!』

父上の心配そうな顔に、私は笑顔を作る。


「…アイリの魔力は、赤じゃなく、べにの赤?…紅い力、って珍しいのですか?」

アズが先生に向けた質問に、母上はひどく驚いた。


「…ア…アイリ、貴女の力は『紅』なのですか!?」

私は自分の体を見つめた。
ざわざわと血を騒がせてみる。


…以前より、
赤色の魔力は、確かに深い色に見える。
『紅』と言えば、そうなのかもしれない。


私が訳も分からず首を傾げながら頷くと、両手を口元に当て驚愕の表情で、先生に視線を送る。
先生も目を伏せ深く頷いた。


…なに?
何だというの…?


「明日アイリを連れていくのは止めて下さい!」

母上は強く言い放った。


「しかし…!」

「マルクは『紅い力』をも欲しています!!」

「…?」


「俺たちにも分かるように説明して下さい…!」

先生も、母上も父上も…
アランですら、
うつ向いた。

私とアズとキースは、この状況に置いていかれている。



『…話は、ウィッチ狩りまで遡るのだが…。』

父上が、そう切り出した。