「…大きく…なりましたね、アズ…」

「もう…23歳です。母上…!本当にご無事で良かった!父上も喜びます!!」


「この子は…アイリと…?」

カルラさんが潤んだ瞳で私を見る。
私は焦って否定した。


「いえっ、混乱させてごめんなさい…。私は拾われた子なんです。本当のアイリさんじゃありません…」

本当に…
ごめんなさい…


アズが私の卑屈な言葉に補足した。


「もう、ずっと一緒に暮らしてる家族なんだ…!な?」

くしゃくしゃと、私の髪を撫でた。
私は、肩をすくめてアズを見上げた。


「……そうよね。まさか…ね。ごめんなさいね、髪と瞳の色は違えど、あの子に似ている気がして。」


カルラさんの瞳が揺れる。
アズが静かに聞いた。


「妹のアイリは…?」

カルラさんは目を伏せた。
声は徐々に小さくなる。


「…もう、ずいぶん前に…マルクに…」

そこまでで、口を閉じた。

……殺された…


「…そう…ですか。」

アズもそう瞳を伏せた。
再び視線を上げると、


「…さぁ母上、ここを出て、皆で帰りましょう!ラルファに!」

そうカルラさんの両手を取った。