「…カルラ…さん…?」

彼女は、私が口にした言葉に、一瞬ビクッと顎を引いた。

そして…、
彼女は控えめに、こくりと頷いた。


「マルク以外の人が来るのは、何年ぶりかしら…。」

「………。」

カルラさんは、腰を落としたままの私の前にしゃがみ込むと、倒れる二人に視線を向けた。

アズの、母上…

私は、彼女の動きを目で追うばかり。


「この方たちはウィッチではないのね…。大丈夫、気を失っているだけ。私も最初来た時こうだったわ。」

「そうですか…」

カルラさんの緑色の瞳が、私に微笑みかける。
私は戸惑うばかりで、うまく言葉を発せない。


感動の再開になるはずが…
私一人じゃあ…
なんて説明すればいいか、何から説明すればいいのか。


「あっ…あの、私たち、ラルファからカルラさんを探しに来たんです!」

「ラルファ…!!ラルファは無事ですか?王は、息子は、国は!」

ラルファという言葉を合図に、カルラさんは声をあらげた。

急激な心拍の上昇を感じる。
私の肩を興奮気味に揺さぶった。


「ぶ、無事です!今は!」

「…そう。良かった…。」

彼女の体から力が抜けた。
目を閉じ、深く深呼吸している。