よいしょ、と座る位置を落ち着けると、私をぎゅっと抱き締めた。


「アタシ、アイリちゃんとっても好きよ。」

「…?」

言葉にはされていないが、だから守って?と言っている気がする。


タビは、私を抱き締めたまま、顔だけを先生に向けて話を切り出した。


「ご主人様、ごめんなしゃい…。アタシ、危ないかりゃダメって言われてたにょに、マルクにすり寄ってしまったの。」

「………。」

様子を伺うタビは、無言で感情を出さない先生を前に、早くも唇を噛んだ。


「一緒にいくか?って言われて、逃げたにょだけど首ちゅかまれてっ…。マルクと二人で知らにゃい島へ行ったにょよ…」

タビは、うるうると瞳を潤ませ、それでも最後まで話そうと、必死に涙を堪えていた。


「小しゃな島で、違う女の人とも会ったにょよ…。怖くて震えりゅアタシを撫でてくれた優しい人よ。」

「……!?」


「タビちゃん!その女の人『カルラ』って名前だった?!」


急に隣から興奮したアズが声を掛けたので、タビの体がビクッと跳ね上がる。


「ちょっと、アズ!びっくりするでしょ!?…ごめんね?タビ。」